モバイル端末メーカーとって、5G NRは新たな複雑さとなって、開発プロセスに大きな影響を与えます。ミリ波帯で動作するアンテナ・アレイを備えた最新のRFインターフェースのために、試験設備や試験方法がいっそう困難なものとなりつつあるのです。2021年に再びバルセロナに帰ってきたMobile World Congressでは、ローデ・シュワルツから、モバイル端末の試験に向けたラインナップのなかで特に注目のソリューションを紹介しました。そのラインナップは、5G NRデバイス設計の初期段階から、デバイス製造のための承認取得までをカバーしています。
無線アクセス・ネットワーク(RAN)の実状を見ると、マクロ・セルからスモール・セルまで様々な規模の基地局で構成され、それぞれ多様な種類のインフラ設備が整備・運用されているのが分かります。特に5G NR技術の発展にともない、MIMOによる複雑さの増加やビームフォーミング、帯域幅の拡大、ミリ波域におよぶ新しい波長域などから、インフラ設備の試験に困難がともなうようになっています。2021年6月、バルセロナに帰ってきたMobile World Congressにおいてローデ・シュワルツは、多様なニーズに応えるとともに、モバイル産業の皆様が5Gの可能性を最大限に活用できるよう、業界をリードする最新のモバイル・ネットワーク用インフラの試験ソリューションを出展しました。
かつてないほど高いエンドユーザーのデータ通信速度とシステムの処理能力をサポートする5G NRでは、高速大容量(enhanced mobile broadband:eMBB)がユースケースの核心にあり、モバイル端末にはいっそう多くのインターネット・ベースのサービスやアプリケーションが盛り込まれることになります。そこで、モバイルワールドコングレス2021(MWC21)では、高度な試験・計測技術を専門とするローデ・シュワルツとVIAVI Solutions社が、5G SA(スタンドアローン)方式による5G NR eMBBのエンド・ツー・エンドな試験シナリオについて、初めてながら異例の7.5 Gbpsという高いデータ通信速度でのデモンストレーションを行いました。このデモは、最高10 Gbpsという来るべきデータ通信速度への展開に道を拓くものです。こうした高い通信速度は携帯電話ユーザーにとって、4K動画のストリーミングや拡張現実によるメリットとしてすぐに実感できることになるでしょう。