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車載800Vバッテリーシステムに対応した阻止電圧1800V車載用フォトリレーの発売開始について

当社は、車載バッテリーの高電圧化に対応するため、当社初の阻止電圧1800V (min) を実現した10pin SO16L-Tパッケージの車載用フォトリレー[注1]「TLX9165T」を製品化し、本日から出荷を開始します。

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車載800Vバッテリーシステムに対応した阻止電圧1800V車載用フォトリレーの発売開始について

電気自動車の普及における課題である充電時間や航続距離の改善には、バッテリーシステムの効率的運用が求められます。バッテリーマネジメントシステム (BMS: Battery Management System) はバッテリーの充電状況を監視することでシステムの高効率運用を可能にし、高電圧バッテリーを安全に使用するためにバッテリーと車体との絶縁監視も行っています。高電圧を扱うBMSには電気的に絶縁されたフォトリレーが使用されています。

また、再生可能エネルギーの効率運用を担うエネルギー貯蔵システム (ESS: Energy Storage System) においても同様な構成のBMSが採用されており、電気自動車と同じく高電圧を扱うことから、電気的に絶縁されたフォトリレーが使用されています。

現在、車載のバッテリーシステムでは400Vが主流ですが、今後、航続距離延長や急速充電需要が高まることから、800Vへ移行が進むと考えられています。一般的に、車載バッテリーシステムに使用されるフォトリレーにはシステム電圧の約2倍の耐圧が求められることが多く、800Vシステムの場合、1600V以上の阻止電圧が必要となります。新製品は新規開発の高耐圧MOSFETを搭載することで、阻止電圧1800V (min) を実現したフォトリレーで、800Vシステムに適しています。

10pin SO16L-Tパッケージには、国際規格、IEC 60664-1[注2] の材料グループ I[注3] に該当する、比較トラッキング指数 (CTI)[注4]が600以上の樹脂が採用されています。さらに、受光側の沿面距離7.5mm以上[注5]を確保できるピン配置にしています (図1)。これらによりIEC 60664-1に則って、使用電圧1500Vに対応可能です。なお、ピンピッチおよびピン配置はSO16L-T[注6]と同一で、基板パターン設計の共通化が可能です。

当社は、今後も車載機器のバッテリーシステムや、産業用機器のエネルギー貯蔵システムに適したフォトリレー製品を開発し、機器の安全動作に貢献していきます。


車載800Vバッテリーシステムに対応した阻止電圧1800V車載用フォトリレーの発売開始について
 
  • [注1] フォトリレー: 1次 (制御) 側と2次 (スイッチ) 側が電気的に絶縁されたもので、ACラインと直結した回路のスイッチや、グラウンド電位が異なる機器間のスイッチを、絶縁バリアを介し制御できる。
  • [注2] 交流1000V以下または直流1500V以下のシステムにおける絶縁協調に関する原則、要件、および試験方法を規定している。
  • [注3] IEC 60664-1における成形材料の分類の1つで、比較トラッキング指数 (Comparative Tracking Index) [注4]が600以上の材料を指す。
  • [注4] 比較トラッキング指数 (CTI): IEC 60112[注7]で、指定の条件で絶縁材料の表面に塩化アンモニウム溶液を滴下しトラッキングが起きない最大電圧。
  • [注5] 動作電圧1500V、材料グループⅠ、汚染度2 (電気機器の使用環境による汚染度を分類した項目: 非導電性の汚染だけが発生する。ただし、結露による一時的な導電性は予想される。) の環境で必要となる沿面距離。
  • [注6] 当社既存製品TLX9160TおよびTLX9152Mで採用されているパッケージ名称。
  • [注7] 絶縁材料の比較トラッキング指数 (CTI) を測定するための試験方法を規定する国際規格。固体絶縁材料の表面における電気的破壊 (トラッキング) 特性を評価るために使用される。

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