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CES 2026でSDV検証を高度化するdSPACE
dSPACEは、ソフトウェア定義車両(SDV)の開発期間短縮とソフトウェア複雑性の管理を目的とした、統合テストおよびAI対応の検証アプローチを発表した。
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dSPACEは、2026年1月6日から9日まで米国ラスベガスのWest Hallで開催されたCES 2026において、ソフトウェア定義車両(SDV)の迅速かつ信頼性の高い開発を支援するエンドツーエンドのテストソリューションを紹介した。特に、AIを活用したソフトウェア・イン・ザ・ループ(SIL)およびハードウェア・イン・ザ・ループ(HIL)検証に焦点を当てた。
AIを活用した検証によるSDVの複雑性管理
SDVではソフトウェア量と機能間の依存関係が増大しており、検証が車両開発における主要なボトルネックとなっている。dSPACEは、生成AIやエージェント型AI技術をSIL環境に適用し、テスト準備および実行を自動化する手法を示した。具体的には、Visual Studio CodeおよびGitHub Copilotを用いて仮想ECU(電子制御ユニット)を自動生成し、より早期かつスケーラブルなSILテストを可能にした。
このアプローチはCI/CDパイプラインへの統合を前提としており、個別のテストフェーズに分断されることなく、ソフトウェア変更を継続的に検証できる点が、SDV開発ワークフローで求められる要件に対応している。
CI/CTパイプラインとクラウドネイティブなテスト実行
検証サイクル短縮への対応として、dSPACEはクラウドネイティブなテストアーキテクチャに基づくCI/CTコンセプトデモを公開した。デモで示されたGitLabパイプラインは、dSPACEのSILテストソフトウェアVEOSおよびHILテストプラットフォームSCALEXIOと緊密に統合され、開発段階全体にわたる継続的テストを可能にしている。
併せて紹介されたHILファーム管理のデモでは、運用効率に焦点が当てられた。HILシステムの稼働状況、利用率、システムエラーを一元的に可視化することで、ダウンタイムの削減と既存テストリソースの有効活用を目的としている。
電動化領域におけるSILからHILへのテスト資産再利用
電動パワートレインの分野では、SILとHILの各段階で一貫したテスト資産を再利用できる点が示された。バッテリー充電システムおよびバッテリーマネジメントシステムを例に、同一のテストケース、シミュレーションモデル、バスおよびネットワーク設定、ユーザーインターフェースを両環境で共通利用できることが実演された。
この再利用により、テスト構成を変更することなくSILおよびHILの両方で適合性試験を実施でき、開発プロセス全体でのテストカバレッジを維持しつつ、コスト管理された検証が可能となる。
レーダー、サイバーセキュリティ、HILシステムの拡張
製品発表の一つとして、レーダーセンサーの機能試験向けソリューションであるDARTS ARROWが紹介された。これは、レーダーを用いた先進運転支援システムのエンド・オブ・ライン(EOL)試験や定期点検向けに設計されており、定義された交通シナリオをシミュレーションすることで、センサー不具合を検出し、緊急ブレーキや車線逸脱警報などの安全関連機能を検証する。
また、車両開発にサイバーセキュリティ検証を統合するためのフレームワークとしてHydraVisionも発表された。スケーラブルなテストケーステンプレートと探索的アプローチにより、開発初期段階での脆弱性の特定、評価、対策を可能にし、自動車分野で高まる安全要件への対応を支援する。
さらに、SCALEXIO Essentialシステムは、既存のSCALEXIO HILプラットフォームを拡張し、特にメカトロニクス用途における従来型エッジECUの開発・検証を目的とした構成として紹介された。自動車、農業機械、建設機械分野を対象に、リアルタイムHIL機能とソフトウェア一式を組み合わせることで、ECU検証の導入コスト低減を狙っている。
CES 2026におけるこれらの展示を通じて、dSPACEは、統合されたSIL/HILテスト、AIを活用した自動化、スケーラブルなインフラを、SDV開発の複雑性管理と検証効率維持の中核要素として位置づけた。
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