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モーションセンシング向け超低消費電力3軸MEMS加速度センサ
アナログ・デバイセズのADXL366は、Mouser Electronicsを通じて供給され、バッテリー制約のあるスマートホーム、民生機器、医療システムにおける常時動作のモーション検出を支える。
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アナログ・デバイセズは、連続的なモーションセンシングを極めて低い消費電力で実現することを目的とした、3軸デジタル出力MEMS加速度センサ「ADXL366」を開発した。本デバイスはMouser Electronicsから供給されており、信号忠実度や測定分解能を犠牲にすることなく消費電力を抑えるという、低消費電力センサ設計における課題に対応する。
デューティサイクルを用いないフル帯域サンプリング
多くの低消費電力加速度センサがデューティサイクル制御やアンダーサンプリングによって消費電力を低減するのに対し、ADXL366はすべての出力データレートにおいてフル帯域サンプリングを維持する。この方式により信号のエイリアシングを回避でき、アンダーサンプリングデータの再構成が不要となるため、後段の信号処理も簡素化される。
本センサはネイティブ14ビットの出力分解能を備え、8ビットおよび12ビットの出力フォーマットにも対応している。これにより、効率的なデータ処理が可能となるほか、ADXL362を用いた既存設計との互換性も確保される。消費電流は、出力データレート100Hz時で0.96µA、モーション検出ウェイクアップモードでは191nAとされている。
これらの特性により、スマートホーム機器、ウェアラブル民生機器、携帯型医療機器など、バッテリー駆動で常時動作が求められる用途に適している。
組み込みモーション処理を支える統合機能
ADXL366は、ホストマイコンの処理負荷を低減するための複数の機能を統合している。これには、設定可能なステップカウンタ、大容量のマルチモードFIFO、外部アナログ入力を同期変換するための割り込み機能付き内蔵アナログ・デジタル変換器(ADC)が含まれる。さらに、追加部品を必要としないマイクロパワー温度センサも搭載されている。
シングルタップおよびダブルタップ検出は、選択した出力データレートとは独立して動作し、追加消費電流は35nAに抑えられている。これらの機能は内部ステートマシンによって管理され、誤検出を低減する設計となっており、ジェスチャ認識やイベント駆動型ウェイクアップ用途において有効である。
測定レンジ、電源柔軟性、パッケージ
加速度の測定レンジは±2g、±4g、±8gから選択可能であり、±2gレンジでは0.25mg/LSBの分解能を実現する。これにより、微細な動きの検出や解析が可能となる。サンプリング時間の制御や外部クロックの使用にも対応しており、他のセンサやプロセッサとの同期が求められる組み込みセンシングアーキテクチャに柔軟に対応できる。
動作電源電圧範囲は1.1V~3.6Vと広く、異なるロジックレベルで動作するホストデバイスと直接インターフェースできる。パッケージは2.2 × 2.3 × 0.87mmの12端子LGAで、ADXL367とピン互換性を備えているため、既存設計におけるドロップインアップグレードが可能である。
評価およびシステム統合
アナログ・デバイセズは、性能評価およびシステム統合を支援するために、EVAL-ADXL366ZブレークアウトボードとEVAL-XLMOUNT1マウンティングブロックを提供している。これらの評価用ツールもMouser Electronicsを通じて入手可能であり、センサ性能の検証、消費電力特性の評価、民生、医療、スマートインフラ分野における開発期間の短縮に寄与する。
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