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産業用ロボットのバックアップ電源に全固体電池を試験導入

京セラとマクセルは、工場自動化における保守負担の軽減と長寿命化を目的として、ロボット制御装置向けの充電式全固体電池モジュールの評価を進めている。

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産業用ロボットのバックアップ電源に全固体電池を試験導入
京セラ鹿児島川内工場外観

半導体や電子部品の製造現場で使用される産業用ロボットは、停電時にもメモリデータやリアルタイムクロック(RTC)機能を維持するためのバックアップ電源を必要とする。これらの用途では通常、一次電池が用いられてきたが、京セラは2025年12月、半導体用セラミックパッケージの生産拠点である鹿児島川内工場において、マクセル製の全固体電池モジュールを搭載した産業用ロボットおよび制御装置の試験運用を開始した。

ロボット制御システムにおける一次電池の代替
工場自動化設備のバックアップ電源には、一般的に1~2年ごとの交換が必要な使い切り電池が採用されている。交換作業は保守工数を要するだけでなく、使用済み電池は産業廃棄物として処理される。

今回の試験では、これら一次電池の代わりに、マクセルの充電式全固体電池「PSB401010H」を搭載したモジュールを使用している。この構成により、同等のバックアップ機能を維持しながら、電池寿命を10年以上に延ばすことが想定されている。交換頻度の低減は、保守作業の削減と電池廃棄物の抑制につながる。

セラミック外装と高温環境での信頼性
マクセルの全固体電池には、京セラが開発したセラミックパッケージが外装として採用されている。セラミックは耐熱性と気密性に優れ、温度上昇や粉塵、振動などが想定される製造現場での使用に適している。さらに、全固体電池は可燃性の液体電解質を使用しない構造であるため、制御盤内などでの安全性向上にも寄与する。

固体電解質とセラミック封止の組み合わせにより、長期にわたる電気的・機械的安定性が期待され、従来型電池では劣化しやすい環境条件下での運用に適した構成となっている。


産業用ロボットのバックアップ電源に全固体電池を試験導入
マクセルの全固体電池電源モジュール

過酷な製造現場への適用性
半導体や精密部品の製造工程で使用される産業用ロボットは、連続稼働や厳格な環境管理の下で運用されることが多い。バックアップ電源には、温度変動や繰り返しの通電・停電に耐え、長期間安定して機能することが求められる。

充電式全固体電池は通常運転中に再充電が可能であり、一次電池に見られる深い放電状態を回避できる。この特性は、制御装置のメモリ保持や時刻管理機能の長期安定運用に寄与する。

今回の試験運用は、実際の製造ライン環境下での温度負荷や保守体制を含めた条件のもとで行われており、実運用データの取得を目的としている。

産業用途向けエネルギー貯蔵の今後
京セラは本試験の結果を踏まえ、製造拠点における保守負担および環境負荷のさらなる低減につながる技術としての導入拡大を検討している。マクセルは今後も、高信頼性・高耐熱性・高出力・大容量を軸に、従来の電池では対応が難しかった用途に向けた全固体電池およびモジュールの開発を進める方針だ。

両社の取り組みは、長寿命かつ高安定性が求められる産業オートメーション分野において、全固体電池をエネルギー貯蔵技術の選択肢として組み込む動きを示している。

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