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03
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東芝、1500V阻止電圧対応車載用フォトリレーTLX9161T発売
SO12L-Tパッケージ採用のTLX9161Tは実装面積25%削減、1000V動作、5000Vrms耐圧、AEC-Q101準拠でEV電池向け最適。
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当社は、車載バッテリーの高電圧化に対応した阻止電圧1500V (min) を実現し、小型SO12L-Tパッケージを採用した車載用フォトリレー[注1]「TLX9161T」を製品化しました。本日から出荷を開始します。
電気自動車の普及における課題は、充電時間短縮や航続距離の改善です。これらの課題解決のためには、バッテリーシステムの効率的運用が求められます。バッテリーマネジメントシステム (BMS) は、バッテリーの充電状況を監視することでシステムの高効率運用を可能にするとともに、高電圧バッテリーを安全に使用するためにバッテリーと車体との絶縁監視も行っています。高電圧を扱うBMSには電気的に絶縁されたフォトリレーが使用されています。
新製品は、当社の既存製品TLX9160Tを小型化した、阻止電圧1500V (min) の高耐圧フォトリレーです。内蔵するMOSFETチップの小型化により、TLX9160Tに採用されているSO16L-Tパッケージより実装面積を約25%[注2]削減したSO12L-Tパッケージへの搭載を実現しました。これにより、BMSの小型化やコスト削減に貢献します。なお、ピンピッチおよびピン配置はSO16L-Tと同一 (図1) で、基板パターン設計の共通化が可能です。
また、SO12L-Tパッケージには、国際規格IEC 60664-1[注3]の材料グループⅠ[注4]に該当する、比較トラッキング指数 (CTI[注5]) が600以上の樹脂を採用し、受光側の沿面距離5mm以上[注6]を確保しています (図2)。これにより新製品はIEC 60664-1に準拠し、使用電圧1000V対応を可能にしました。
当社は今後も車載用フォトリレー製品のラインアップ拡充を進め、電気自動車の普及における課題解決のためのソリューションを提供することで、カーボンニュートラルの実現を目指します。

図 1. SO16L-TとSO12L-Tのピン配置とランドパターンのイメージ図

図 2. SO12L-Tパッケージのピン配置
[注1] フォトリレー: 1次 (制御) 側と2次 (スイッチ) 側が電気的に絶縁されたもので、ACラインと直結した回路のスイッチや、グラウンド電位が異なる機器間のスイッチを、絶縁バリアを介し制御できる。
[注2] SO16L-Tパッケージサイズ (10.3×10.0×2.45 (mm) ) とSO12L-Tパッケージサイズ (7.76×10.0×2.45 (mm) ) との比較。
[注3] 交流1000V以下、または直流1500V以下のシステムにおける絶縁協調に関する原則、要件、および試験方法を規定している。
[注4] IEC 60664-1における成形材料の分類の1つで、比較トラッキング指数 (Comparative Tracking Index) [注5] が600以上の材料を指す。
[注5] 比較トラッキング指数 (CTI) : 絶縁材料の表面に沿って電気的なトラッキング (導電性経路) が形成されるまでの耐電圧性能を示す指標。
[注6] 動作電圧1000V、材料グループI、汚染度2 (電気機器の使用環境による汚染度を分類した項目: 非導電性の汚染だけが発生する。ただし、結露による一時的な導電性は予想される。) の環境で必要となる沿面距離。
応用機器
- 車載機器: BMS (バッテリー電圧監視、メカニカルリレー固着検出、地絡検出など)
- 各種メカニカルリレーの置換
新製品の主な特長
- 小型パッケージ: SO12L-T (7.76×10.0×2.45 (mm) (typ.))
- 阻止電圧: VOFF=1500V (min)
- ノーマリーオープン機能 (1a接点)
- アバランシェ電流定格: IAV=0.6mA
- 高絶縁耐圧: 5000Vrms (min)
- AEC-Q101準拠
- 国際規格IEC 60664‐1に準拠