www.engineering-japan.com
MAPLESOFT

フランス電力庁はMapleを活用して、原子力発電所で二次冷却系水路のリスクを減少

フランス電力庁の国立原子力センター(CNEN)は、工学・科学・数式処理のための高性能なソフトウェアMaple™を活用し、予測型点検ソフトウェアプログラムの開発・検証・研究を行いました。Mapleは、工学・科学・数式処理のための高性能なソフトウェア開発のリーディングカンパニーであるMaplesoft™が開発したソフトウェアです。BRT-CICEROと名付けられたこのソフトウェアは、フランスの原子力発電所の機関室でパイプネットワークの点検プログラムの開発に使用されます。

フランス電力庁はMapleを活用して、原子力発電所で二次冷却系水路のリスクを減少
一般的に、炭素鋼の腐食や浸食は、水や湿った蒸気の循環によって起きます。この腐食により、核プラントや火力プラントの水蒸気ネットワークが大きな損害を受けます。この腐食・浸食の影響によりパイプの側面が薄くなるため、ある一定時間内に発見できない場合、漏出や、コンポーネントの故障が起こる場合があります。

施設の有用性と、人の安全保護のリスクを考慮し、EDFは、原子炉の水路での、気密性の高い給水管の制御と最適化のためにBRT-CICEROを開発しました。 BRT-CICEROは、関連するパラメータ、たとえば、配管の寸法や、鉄のクロム含有量、化学的な状態、水路の熱や水力の状態、などを用いてパイプの内部損失量を予測計算することができます。

このソフトウェアは、1990年代前半に開発されて、その後Mapleを使ってアップデートを重ねてきました。今では、EDFの各支局で標準ツールとして使われており、腐食や浸食をもたらす原因となるものを識別して、仕様書に設定されたパイプの厚さよりも下回る場所を予測することができます。BRT-CICEROはパイプの腐食・浸食のリスクを管理し、停止時点検プログラムを開発するためにも不可欠のツールとなっています。この点検は、携帯機器で超音波と鉄鋼を使用してパイプ内の厚さを測定します。

BRT-CICEROのアップデートバージョンは5人の技術者チームによって開発されました。 まずMapleを使って物理化学モデルを定式化し、元のソフトウェアのモデルと比較検討しつつ開発を進めました。これらの方程式をMapleによって解き、得られた方程式をダイレクトにCコードに自動生成しました。

BRT-CICEROの新しいバージョンを一般的な工業用ツールとして適用するためには、法的な要求事項を満たすため、ソフトウェアの開発と同時に技術文献も作成する必要がありました。さらに、使用範囲を決定しEDFの原子力発電所でも使用可能とするためには、導き出した公式を立証するために認定試験に合格する必要がありましたが、Mapleの高度な対話型技術文書作成機能がこのチャレンジを可能にしました。安全性を高めるため、それぞれ極限の状態でさまざまなテストが行われました。1万4000以上のテスト操作とシミュレーションの結果、BRT-CICEROの品質の高さが証明されました。

アプリケーションの開発責任者であるM.ブビエ氏は、「私たちはMapleの持つ、数学計算の速さ、強力なグラフィカル機能、さらに非常に効果的な対話的なドキュメントインタフェースに感銘を受けました。方程式からのダイレクトな自動コード生成機能により、検証ツール開発の自動化、加速化が図れました。多くの工場長がこのソフトウェアへの強い関心を示しています。また、現在私たちは、この技術ツールの外部への販売も視野に入れています。」と、述べています。

安全手順に、予測保全ツールを活用したことにより、フランスの原子力発電所で大きな事故が一度も発生していない、という事実に貢献しています。

CNENについて
CNEN(フランス電力庁の国立原子力センター)はパリ郊外に位置し、フランス国内の核施設の設計と開発を行っています。650名の技術者を擁すこのセンターでは、第三世代の原子炉(EPR-ヨーロッパ式加圧原子炉) のコンセプトを開発しました。また、BRT-CICEROを開発したCAD Serviceでは、54名が設計部門と開発部門に分かれて専門的なツールの開発にあたっています。機構要素や電気要素が統合されたあらかじめプログラムされたモデルライブラリや原子力発電所を制御するためのソフトウェアがここで開発されています。CAD Serviceは技術者に原子力施設の設計や分析に必要なツールを与える数値シミュレーションリソースとなっています。
 

  さらに詳しく…

LinkedIn
Pinterest

フォロー(IMP 155 000フォロワー)