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半導体後工程向け深紫外ピコ秒レーザー
Oxide Corporationは、先端パッケージングおよび半導体製造における低ダメージ微細加工を目的とした高パルスエネルギー光源を投入する。
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Oxide Corporationは、半導体後工程向けに設計された高パルスエネルギーの深紫外(DUV)ピコ秒レーザーを自社ポートフォリオに追加し、先端パッケージング工程における加工精度および熱ダメージ抑制の課題に対応する。
ウエハ検査から後工程微細加工への展開
今回のレーザーは、Oxide Corporationが初めて半導体後工程用途向けに開発した製品であり、これまで前工程のウエハ欠陥検査装置向けに供給してきた深紫外レーザー技術を基盤としている。高性能計算やAI用途の拡大に伴い、先端パッケージングでは、チップ微細化に加えて、高密度実装、微細ビア、選択的材料加工の重要性が高まっている。
こうした背景の中、レーザー加工は、従来の機械加工やウェット/ドライエッチングを補完、あるいは代替する手法として注目されている。非接触での加工が可能であり、高い寸法精度と低い機械的ストレスを両立できる点が、複雑化する後工程構造に適している。
先端パッケージングにおけるレーザー加工要件
半導体後工程におけるマイクロビア形成、再配線層加工、レーザーダイシングなどでは、加工寸法と熱影響の厳密な制御が求められる。過剰な熱負荷は、クラックや剥離、材料特性の変化を引き起こす可能性があり、誘電体、金属、特殊材料が積層された構造では特に問題となる。
深紫外波長と超短パルス幅の組み合わせは、こうした制約に適している。短波長は微小スポット形成と材料吸収率の向上に寄与し、ピコ秒パルスは熱拡散を最小限に抑えることで、加工領域外への熱影響を低減する。
ピコ秒制御と高パルスエネルギーの両立
QCW Kalamaシリーズに追加された高パルスエネルギーモデルは、波長266nm、パルス幅約30psで動作し、繰り返し周波数1MHzにおいて1μJ超のパルスエネルギーを供給する。これらのパラメータは、微細構造形成に必要な加工精度と量産に求められるスループットの両立を目的として設計されている。
可視光や長波長UVレーザーと比較して、深紫外かつピコ秒パルスの組み合わせは材料への熱影響を抑制する。高いパルスエネルギーは、後工程で使用される特殊材料の選択的加工を可能にし、高い繰り返し周波数は全体の加工時間短縮に寄与する。
歩留まり向上とプロセス統合への影響
熱影響領域を抑えた高精度加工により、微細構造の寸法ばらつきが低減され、後工程における欠陥発生リスクが低下する。これは、複数の後工程プロセスが密接に連携する半導体製造において、歩留まり改善につながる。
また、1MHzの高繰り返し動作により、量産環境における処理能力が向上し、レーザー工程がボトルネックとなることを防ぐ。結果として、既存の後工程フローへの円滑な組み込みが可能となる。
深紫外レーザー技術の工程横断的展開
Oxide Corporationはこれまで、前工程のウエハ欠陥検査用途向けに、高出力かつ長寿命の深紫外レーザーを供給してきた。今回の後工程向け製品は、そうした技術基盤を、精密微細加工が求められる工程へと展開するものである。
先端パッケージング技術が進化を続ける中、深紫外波長、超短パルス、量産対応スループットを兼ね備えたレーザーシステムは、半導体後工程製造において重要性を高めていくと考えられる。
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