村田製作所とローデ・シュワルツ、5G/6G機器の電力効率を最適化するRFシステムを開発
村田製作所とローデ・シュワルツが共同開発したデジタル・エンベロープ・トラッキング(デジタルET)を搭載したRFシステムは、広帯域5Gおよび6G通信における高精度な測定と消費電力の削減を可能にします。
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村田製作所は、Rohde & Schwarz GmbH & Co. KGと共同で、村田製作所独自の電力制御技術であるデジタルET(Digital Envelope Tracking)の効果を測定するRF(無線周波数)システムを開発しました。本システムを用いることで、5Gや6Gなどの通信機器におけるデジタルETの省電力効果を高精度に測定することが可能となります。
近年、通信機器の高性能化に伴い、消費電力の増加が課題になっています。消費電力を抑える手段として、Envelope Trackingと呼ばれる、RFIC から出力されたRF信号の変調に応じてPAへの供給電圧を調整する技術があります。しかしながら、Envelope Trackingは 5Gや6Gなどの広帯域の信号の伝送を行う場合は十分に消費電力を抑えられない課題がありました。当社のDigital ETは、Envelope Trackingをデジタルで行う技術であり、広帯域の信号の伝送を行う場合においても消費電力の大幅な削減が実現できます。
そしてこの度、RF測定において高い専門性を持つRohde & Schwarz社と共同で当システムを開発しました。
当システムは、以下5つにより構成されます。
- FPGA: 設定した入力信号のDPD 計算、およびPAを高効率で動作させるDigital ET電圧の制御信号の生成を行い、SMW200Aに入力信号と制御信号を伝送する装置(当社)
- SMW200A: FPGAから受信した入力信号をRF入力信号としてPAに伝送するとともに、FPGAから受信したPMICへの制御信号をRF入力信号と同期させてPMICに伝送する装置(Rohde&Schwarz)
- PMIC: 制御信号を基にDigital ET電圧を生成しPAに供給する装置(当社)
- PA: SMW200Aから伝送されたRF入力信号を、PMICから供給されたDigital ET電圧により増幅し、RF出力信号として伝送する装置(当社)
- FSWアナライザ: PAから伝送されたRF出力信号を解析する装置(Rohde&Schwarz)
当システムは、通信機器の回路におけるDigital ETの消費電力削減量を高精度かつ簡便に測定できるため、消費電力を抑えた通信機器の開発プロセスを支援します。
当社は、Digital ETの普及を通して通信機器の消費電力の削減を目指してまいります。今後もエネルギー効率の向上を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。
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