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イグス、機械的熱回収システム(MHRS)を開発

イグス(本社ドイツ)は、射出成形機で使用した冷却水の熱を、産業工場の暖房に利用する機械熱回収システム(MHRS)を開発しました。

イグス、機械的熱回収システム(MHRS)を開発

イグスは、2025年までにカーボンニュートラル生産を達成するという目標のため、取り組みを進めています。その一つが、射出成形機の廃熱を利用した「機械熱回収システム」(MHRS)です。このMHRSの技術で、ドイツ・ケルン本社の大型工場のホールを暖房することに成功しました。MHRSは、暖房要件に応じて、冷却回路を流れる熱を帯びた冷却水を直接ファンヒーターに誘導し、同時に機械の過熱を防ぎます。冷却水から抽出された熱でホールを暖めるため、ガス代を節約できます。また、ファンヒーターを通過する際に熱が取り出されるため、冷却塔での冷却要求が減少し、冷却に必要な電力も少なくなります。 変動する冷却回路の温度は、システムで可変的に調整することができます。MHRSは、高価なヒートポンプを経由せず、熱交換器も必要ないため、温度損失を防ぎます。コンプレッサーから熱を追加で供給する必要ありません。

新しい暖房システムの仕組み
射出成形機の油圧モータは、オーバーヒートを防ぐために冷却水が使われます。熱を帯びた水は冷却塔で冷却され、配管システムで再び機械に供給されます。冷却塔で取り出された熱は大気中に逃げ、エネルギーとして損失してしまいます。
MHRSでは、冷却回路の熱の一部を制御ユニットで取り込み、従来のガスヒーターの横に設置した新しいファンヒーターに直接送ります。ヒーターの詰まりを防ぐため、ストレーナーが水中の浮遊物をろ過して除去します。熱を帯びた水が新しいヒーターに入ると、従来のヒーターの動作が停止します。ヒーターに搭載されたファンで、暖かい空気をホール内に行き渡らせます。その後、水が冷却塔に戻り、サイクルが再び始まります。熱交換器を使用しないため、低温域での運用も可能です。

機械熱回収システム技術の無料提供
イグスは将来的に、この画期的な技術を利用して、工場およびオフィスエリアの暖房を、すべて機械熱で対応することを計画しています。次の計画は、7,209平方メートルの物流センターに、9つのファンヒーターを装備することです。これだけでも、毎年約31.5トンものCO2を削減できます。これは、イグスが2025年までに、建物および生産の完全なカーボンニュートラル化を達成するという目標に近づくための重要なステップです。イグスは、この大きな可能性を秘めた技術を、他の産業企業にも無料で提供することを決定しました。

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