HMSまとめによる産業用ネットワーク市場シェア動向

産業用ネットワークにおいて、グローバルで最も広く利用されているのは、PROFIBUSであることに変わりありません。しかし、いくつかこれに迫るネットワークが登場しています。産業用Ethernetにおいては、PROFINETとEtherNet/IPが首位を競い合っていますが、現在のところどれかにひとつのネットワークに統合されるような動きは見られません。このような見解は、2015年の産業用ネットワーク市場についてのHMSインダストリアルネットワークスによる見解をまとめた結論の一部です。

HMSインダストリアルネットワークスは、独立系サプライヤーとして、産業用デバイスを様々な産業用ネットワークに接続可能な産業用通信向けの製品及びサービスを提供しています。そのためHMSは、産業用ネットワーク市場に対する実状に即した豊富な洞察力を備えています。ここでは、HMSが認識している現在の産業用通信におけるトレンドをいくつかご紹介します。

フィールドバスと産業用Ethernetネットワークはどちらも成長を続けていますが、産業用Ethernetがより急速な伸展をみせています。
グローバルなファクトリーオートメーション（FA）分野で新たに設置されたノード数を調査した結果、最も広く使われているネットワークの種類は、今なおフィールドバスであり、市場の66%を占めています。ここで興味深い事実は、フィールドバスが今後も年間およそ7%の成長が見込まれていることです。フィールドバスには、簡便であることや、長く使われてきた実績と信頼性があり、それが成長の主要因として働いています。最も優勢なのがPROFIBUS（産業用Ethernetを含めた全世界市場の18%を占める）で、これにModbus（7%）、DeviceNet（6%）、CC-Link（6%）が続いています。


一方、産業用Ethernetネットワークは市場の34%を占め、フィールドバスよりも急速に拡大（年間17%）しています。しかしながら、HMSは、産業用Ethernetがフィールドバスを上回るまでには、しばらく時間を要するものと見ています。産業用Ethernetの拡大要因は、主により高い性能や企業内ネットワークとの統合性です。PROFINETとEtherNet/IP がEthernetネットワークで最も優勢であり、それぞれ全ネットワーク市場の8%を占めています。これにEtherCAT、Modbus-TCP、POWERLINKが続きます。

地域による違い
欧州・中東（EMEA地域）で優勢なネットワークはPROFIBUSですが、最も成長率が高いのはPROFINETです。これにModbusとEtherCATが続きます。

米国市場ではCIPネットワークが優位であり、市場シェアではEtherNet/IPがDeviceNetを上回りつつあります。PROFIBUSとEtherCATが次に続いています。さらにPROFINETの市場シェアも拡大しており、Modbusも依然広く使われています。

アジアでは、事実上、市場をリードするような突出したネットワークはみられません。ただし、PROFIBUS、DeviceNetおよびModbusが広く利用されています。CC-Linkは日本で優勢ですが、EtherCATの勢いも増しつつあります。

ますます多くのデバイスが接続されるように
「産業用通信分野で25年以上の実績を持つ当社は、産業用ネットワーク市場に関し、優れた独自の洞察を持つことが出来ます」と、HMSインダストリアルネットワークスのマーケティング・ダイレクターAnders Hanssonは述べています。「ここでご紹介したのは、業界他社の見方や、当社自身の販売統計及び市場認識に基づくものです。一般的な見解として、産業用Ethernetへのシフト傾向にありますが、産業用Ethernetへの移行は、当初の予測より長い時間を要しているようです。そのため、今なお、当社にはフィールドバスと産業用Ethernetのいずれの接続にも多くのご要望が寄せられています」。

「しかしながら、明白であるのは、ネットワーク市場は細分化されたままにも関わらず、ますます多くの産業用デバイスが接続されるようになっていることです。この接続デバイスの増加は、Internet of Things（IoT、モノのインターネット）などのトレンドや、ドイツの産業戦略Industry 4.0によって、さらに高まりをみせています。”Connecting Devices ”（あらゆるデバイスを接続する）という信条を長く掲げてきたHMSは、このトレンドに応えながら成長できる十分な資質をもつものと自負しております」。

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