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ザイリンクス、衛星および宇宙アプリケーション向けの業界初 20nm 航空宇宙グレード FPGA を発表

軌道上でのリコンフィギュレーションと業界初の機械学習推論により、 宇宙でのリアルタイム オンボード処理が実現、全軌道における優れた放射線耐性を提供.

ザイリンクス、衛星および宇宙アプリケーション向けの業界初 20nm 航空宇宙グレード FPGA を発表

アダプティブ/インテリジェント コンピューティングのリーダーであるザイリンクス社  は 2020 年 5 月 19 日 (米国時間)、業界初となる 20nm プロセスの航空宇宙グレード FPGA を発表した。衛星および宇宙アプリケーション向けに設計されており、優れた放射能耐性を提供するとともに、超高スループットで超広帯域幅の通信を可能にする。この新しい 20nm 耐放射線 (RT) Kintex® UltraScale XQRKU060 FPGA は、高柔軟なリコンフィギュレーション能力、10 倍以上のデジタル信号処理 (DSP) 性能 (ペイロード アプリケーションに最適)、さらに全軌道での優れた放射線耐性を提供する。

XQRKU060 は、宇宙アプリケーションに高性能機械学習 (ML) 機能を実装できる業界初のソリューションでもある。TensorFlow や PyTorch などの業界標準フレームワークをサポートするさまざまな ML 開発ツールによって、いわゆる「処理と解析」の包括的ソリューションを使用して宇宙でリアルタイム オンボード処理を実行するためのニューラル ネットワーク推論を高速化できる。XQRKU060 のスケーラブルな精度と大容量オンチップ メモリを備えた高密度/高電力効率の演算機能は、深層学習用に最適化されており、INT8 でのピーク性能 5.7 TOPs (Tera Operations Per Second) を達成できる。これは前世代の約 25 倍である。

宇宙業界におけるザイリンクスの豊富な知識や経験、そして数々の成功を導いた 65nm の航空宇宙グレード デバイスをベースに構築した、業界初 20nm の航空宇宙グレード デバイスは、プロセス ノード レベルで 3 世代分の前進を航空宇宙業界にもたらすことになる。サイズ、重量、消費電力が大幅に削減され、堅牢な耐放射線設計が施されている。XQRKU060 は、過酷な宇宙環境で短期または長期の任務を遂行することを目的に設計された、放射線耐性を持つデバイスである。

ザイリンクスの航空宇宙/防衛マーケティング部門の宇宙システム開発者であるミナール・サワント (Minal Sawant) は、次のように述べている。「ザイリンクスは長年、最先端の耐放射線技術の開発に従事し、この技術を信頼性が重視される航空宇宙グレード ソリューションに導入してきました。今後も、最先端プロセス ノードで航空宇宙分野をリードし続けます。今回の 20nm の RT Kintex UltraScale FPGA は、広帯域ペイロード、宇宙探査、研究ミッションでの高い演算要件を満たす業界標準をクリアし、新たなベンチマークを築きました」

リコンフィギュレーション可能なプロセッシング機能
XQRKU060 は、業界初の軌道上でのリコンフィギュレーションが可能なソリューションである。加えて、リアルタイム オンボード処理と ML の高速化が可能になるため、衛星でのリアルタイム アップデートやビデオオンデマンドの提供ができ、演算を「オンザフライ」で実行して複雑なアルゴリズムを処理できるようになる。ML 機能は、科学的分析、物体検出、画像分類 (クラウド検出など) など、さまざまなタスクに適しており、宇宙および地上システムでの処理効率向上と決定レイテンシの短縮に役立つ。プロトコルやアプリケーションが絶えず進化する中、XQRKU060 の適応型演算アーキテクチャによって高柔軟な軌道上のリコンフィギュレーション能力が備わるため、既に軌道上で稼働している場合と同様、打ち上げ直前にも製品のアップデートが可能になる。

宇宙アプリケーション向けの性能と耐性
XQRKU060 は、電力効率の高い高密度コンピューティング用に最適化された豊富な DSP 機能を備えている。XQRKU060 には 2,760 個の UltraScale DSP スライスがあり、最大 1.6TeraMAC の信号処理演算を実行できる。これは前世代の 10 倍以上の性能であり、浮動小数点演算の効率も大幅に向上させることができる。宇宙アプリケーションの高い演算能力は、最大 12.5 Gbps で動作する 32 個の高速トランシーバー (SerDes) で実現する最大 400Gbps の集約 I/O 帯域幅と組み合わせて使用される。

SEAKR® Engineering 社の CTO であるポール・ルーツ ( Paul Rutt) 氏は、次のように述べている。「SEAKR Engineering は 15 年間にわたりザイリンクスと協力して、高度な宇宙通信アプリケーションの実現に向けた挑戦的なミッションを一貫して達成しています。ザイリンクスの 20nm Kintex UltraScale FPGA および 12.5Gbps の SerDes リンクをベースに、当社の最新のRF リコンフィギャラブル プロセッサである Wolverine を用いて、高スループットかつ柔軟でリコンフィギュレーション可能な変調、復調、チャネル化、配線 (ルーティング) 機能を実現しています。このプロセッサは前世代のシステムと比較して、ダイレクト RF サンプリングの DSP 演算能力を 10 倍向上させています」

XQRKU060 は、打ち上げ時の振動や操作、さらに過酷な軌道上の放射線影響に耐えることができる 40x40mm の堅牢なセラミック パッケージで提供される。デバイス アーキテクチャは、シングル イベント効果 (SEE) を軽減する革新的な手法で設計されているため、低軌道 (LEO)、中軌道 (MEO)、静止軌道 (GEO) の全軌道および高度な探査任務に対応する業界要件を満たしている。

開発ツール
XQRKU060 は、ザイリンクスの Vivado® Design Suite を使用してシンプルに設計できる新しい環境が整っている。配線アーキテクチャが再設計されて十分な配線キャパシティがあるため、一般的な業界ボトルネックは解消される。Vivado Design Suite でプログラムすることで配線の密集問題を回避できるため、性能を犠牲にすることなく 90% 以上のデバイス使用率を達成できる。システム設計者や放射線環境に適した製品の開発チームは、Vivado ツールを使用して生産性を最大化し、開発期間を短縮できるため、タイトな打ち上げスケジュールにも対応できる。

さらに Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームが TMR (三重モジュール式冗長) 対応の MicroBlaze ソフト プロセッサを使用するエンベデッド ソフトウェア開発をサポートしている。今後、ザイリンクス デバイスやプロダクション カードを使用する AI 推論開発向けのザイリンクス統合ソフトウェア プラットフォーム Vitis AI のサポートが追加される予定である。

現在、エコシステム パートナーから XQRKU060 用の互換ソリューションが多数提供されている。これらのソリューションは、プロトタイピング ボード、宇宙分野向けに認定された電源、メモリ/コンフィギュレーション ソリューション、シングル イベント アップセット (SEU) 緩和ツール、IP に至るまで、航空宇宙アプリケーションの設計効率化に役立つ。

供給体制
航空宇宙グレードの 20nm RT Kintex UltraScale XQRKU060-1CNA1509 FPGA のフライト ユニットは、MIL-PRF-38535 準拠のザイリンクス クラス B およびクラス Y 認定デバイスとして、2020 年 9 月上旬から提供を予定している。メカニカル サンプルとプロトタイプ ユニットは既に提供中である。

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