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Seco Tools

機械加工の生産性向上に欠かせないツールホルダ

精密な加工工具と高度な切削工具を組み合わせることで、金属切削の生産性は飛躍的に高まります。その生産性を存分に活用するには、切削工具と工作機械の主軸をつなぐリンク、つまりツールホルダが不可欠です。工具メーカーはさまざまなスタイルのツールホルダを提供しており、それぞれ特定の加工用途で最適な性能を発揮するように設計されています。そのため、機械加工工場は作業する内容と製造する部品に基づいてツールホルダを選択する必要があります。しかし、工場は最先端の機械加工技術や切削工具材料の導入には積極的ですが、実際の製造ニーズに最適なツールホルダの選択、適用、維持にはほぼ無関心です。


ホルダごとに異なる用途
1 つのツールホルダスタイルですべての用途に対応することはできません。高速仕上げ加工用に設計されたツールホルダの多くは、未加工鋳造品の深い粗加工などで求められる剛性と強度に欠けています。逆に、粗加工用に設計されたホルダの多くは、高速かつスムーズさが求められる仕上げ加工でのバランスの取れた品質を達成できません。さらに、粗加工用ホルダの堅牢な作りと大きさでは、緻密な形状や深い形状へのアクセスが制限されます。硬い被削材には、強度と剛性に優れたツールホルダが必要です。また、振動吸収性やクーラントの供給性も重要な選択基準になります。

用途にそぐわないツールホルダを使用すると、寸法誤差や部品廃棄が発生し、機械主軸が過度に摩耗する可能性があります。工具寿命が短くなり、工具の破壊が増加することも考えられます。さほど重要ではない作業では、廉価なツールホルダでも満足のいく結果が得られるかもしれません。しかし、再現精度が求められる作業や、高価な被削材の廃棄によって部品の利益率が目減りする状況では、用途に特化した最高品質のツールホルダに投資することで、こうした予期しない損失を回避でき、結果的に安上がりな保険となります。

長めのツールホルダをあらゆる用途で使い回すというコスト節約戦略も存在しますが、可能な限り短いホルダを常に使用すると、最高の剛性が得られ、接触面を劣化させる振動を最小限に抑制でき、工具寿命を保てます。

ツールホルダのコストは総生産コストの 2%未満でしかなく、コストを半減できたとしても大した節約にはなりません。一方で、被削材の廃棄や工具の破損は明らかに財務に影響します。高品質な工具とホルダを使用することで、金属切削の生産性が向上し、短期間で工具投資を回収できます。特に、機械加工プロセスの安定性が最優先される航空宇宙部品製造などの業界では、欠陥部品の発生を抑え、トラブルシューティングや生産停止で時間を浪費する事態を回避するために、多くのメーカーが高品質な工具の導入を重視しています。航空宇宙メーカーでは、新しいホルダコンセプトを生産工程に実際に導入する前に、長い時間をかけて検証するのが常です。

ホルダ選択を左右する被削材の要素
ツールホルダの選択には、それぞれの作業における被削材の加工性と、最終部品の構成が影響します。こうした要素は、特定の輪郭や形状に仕上げるのに必要なツールホルダ寸法も左右します。また、オペレータの失敗を最小限に抑えるために、ツールホルダはできるだけ単純で使いやすくあるべきです。

どの工具保持技術でも、実行可能な作業内容は、機械加工ツールの剛性、主軸動力、厳格な公差を達成する能力によって決まります。たとえば、摩耗した機械でミクロン単位の公差を達成しようとするのは時間の無駄と言えます。

加工工具の基本要素は重要な役割を果たします。リニアガイドの高速機械では、高速用途向けに設計されたツールホルダを最大限活用できます。ボックスウェイの加工機械は重切削に適しています。マルチタスクの加工機械では、旋削とフライス/ドリル加工の両方に対応するツールホルダを存分に活用できます。

実際の加工戦略も、ツールホルダ選択の指針となります。たとえば、浅い切削を含む高速切削(HSC)加工の場合は、適切な工具の選択によって生産性を最大限に高めることができます。高性能切削(HPC)加工の場合は、適度な出力で高い切り屑除去率が要求されますが、高速性能はそれほど必要とされません。

揺れを抑えて反復性を高めると、工具のエンゲージ状態を保ち、振動を低減させ、工具寿命を最大限に延ばすことができます。バランスが重要です。高品質なツールホルダは、G2.5 25,000rpm 品質(1g.mm)での緻密なバランス取りが必要です。加工工場は、独自の調査や工具サプライヤとの話し合いを通じて、生産ニーズを低コストで満たす工具保持システムを決定することができます。

ニッチな用途に適したホルダ
シンプルなウェルドンでも、コレット、焼きばめ、機械タイプや油圧タイプでも、ツールホルダは特定の加工要件と一致させる必要があります。たとえば、ウェルドンシャンク工具向けのシンプルなエンドミルホルダは、高剛性で、使いやすく、大トルクの伝達に適しており、強力な引き抜き防止アクションで安全かつ確実な締め付けが可能です。こうしたホルダは重粗加工に適していますが、精密な同心性は得られません。本質的にアンバランスであるため、高速回転を用いる用途の生産性には貢献しません。

コレットチャックと、交換可能なコレットは、ラウンド型の工具保持技術の最も一般的な形式です。安価な ER スタイルは、さまざまなサイズがあり、十分なグリップで信頼性の高い軽フライス/ドリル加工を実現します。高精度 ER コレットホルダは、少ない揺れ(工具先端で 5µm 未満)を実現し、左右対称の設計が高速加工で良好なバランスを達成します。重切削加工用に強化バージョンも選択できます。ER ホルダは、迅速な交換を可能にし、幅広い工具径に対応します。

焼きばめホルダは、強力な締め付け力を発揮し、3xD 3µm の同心性と優れたバランス品質を達成します。小型でシンプルなノーズ構成により、タイトな部品形状でも確実にアクセスできます。


機械加工の生産性向上に欠かせないツールホルダ
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強化バージョンは中・重切削に対応しますが、保持力は工具シャンクとホルダの ID 公差によって変化します。焼きばめ工具は、専用の加熱装置とともに、加熱/冷却工程が必要になるため、シンプルな切り替え式コレットよりもセットアップに時間がかかります。

機械式フライス加工チャックは、複数のニードルベアリング列によって強力な保持力と高いラジアル剛性を発揮します。重切削と迅速な工具交換を可能にする設計ですが、揺れはコレットシステムよりも大きくなります。機械式チャックは、一般に他のツールホルダスタイルよりもサイズが大きく、部品形状によっては工具アクセスが制限されます。


機械加工の生産性向上に欠かせないツールホルダ
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油圧を使って締め付ける油圧チャックは、機械式チャックよりも内部要素が少なく、比較的シンプルなプロファイルです。揺れが少なく、主軸速度の高いリーマ加工、ドリル加工、軽フライス加工で効果を発揮しますが、重ラジアル負荷には弱くなっています。

ホルダによる切削工具の保持方法も重要ですが、機械加工主軸へのマウント方法も同様に重要です。主軸や、ツールホルダのテーパエンドによって、トルク伝達性能が決まり、工具のセンタリング精度が確立されます。従来の BT、DIN、CAT 工具テーパは、小型の加工機械では有効ですが、高速性能は制限されます。ホルダテーパとフェイスの両方の接点を提供するバージョンは、剛性と精度が向上しており、突き出し部の長い状況で特に有効です。テーパサイズが大きい場合は、大トルクを確実に伝達できる必要があります。たとえば、HSK-E32 ホルダは、重切削で使用する HSK-A125A の代替にはなりません。

ホルダテーパスタイルには地域的な好みがあります。HSK は 5 軸加工機械の普及が進んでいた 1990 年代中頃にドイツで考案されました。CAT テーパは米国で圧倒的なシェアを占め、アジアではテーパ/フェイス接点バージョンの BT シャンクが一般的です。

HSK は、5 軸機械加工で非常に一般的です。PSC(ポリゴンクランプシステム: Capto)と KM 接続は、マルチタスク機械で主に使用されており、現在では ISO 規格となっています。KM と Capto は、いずれもモジュール式システムです。エクステンションと縮小エクステンションを組み合わせることで、長さの異なる専用工具を構築できます。1 つの固定具で部品の旋削、フライス加工、ドリル加工が可能なこのツールホルダスタイルは普及してきており、マルチタスク機械での採用が増えています。


機械加工の生産性向上に欠かせないツールホルダ
Hydraulic Chuck.jpg

独自に開発された工具保持システムは、専用のホルダとコレットを革新的な方法で使用して目覚ましい成果を発揮します。工場は、そのメリットを計算する必要があります。これらのシステムは一般に、コスト増をもたらし、単一サプライヤによって工具選択の自由が制限されることがあるからです。

コストなど考慮すべき点
油圧または機械式ホルダの基本コストはコレットまたは焼きばめホルダよりも高くなりますが、焼きばめ加熱システムの費用や工具交換に要する時間などその他の要因も考慮する必要があります。コレットチャックホルダシステムでは、コレットを切り替えるだけでさまざまな工具径に対応できます。一方、焼きばめシステムでは、それぞれの工具径に合わせて焼きばめホルダを用意する必要があります。

加工機械オペレータと工具メンテナンス担当者も、ツールホルダの確実な運用を左右する重要な要因です。機械加工工具やその他の製造機器と同様に、ツールホルダもメリットを最大限に引き出して活用するには適切な使用とメンテナンスが求められます。たとえば、オペレータは工具シャンクをホルダの一番奥まで差し込む必要があります。正しく固定しないと、精度を損なう振動が発生したり、工具が飛び出してしまったりする可能性があります。工具の組み立て仕様に従うことが重要です。また、オペレータはチャックの締め付け時に延長ハンドルを使用して過剰なトルクを加えるようなことは避けなければなりません。コレットが歪んで工具の位置合わせがずれる可能性があります。

軽視されがちですが、工具のメンテナンスも重要です。オペレータは常に、使用前にホルダを清掃し、機械工具の主軸を点検すべきです。ホルダを清掃して乾かした上で、工具テーパの保護キャップを付けて保管します。油圧チャックの油圧は定期的に点検する必要があります。

まとめ
機械加工工場は、加工システムにおけるツールホルダの重要性を理解する必要があります。また、具体的な加工工具、加工戦略、被削材に適したツールホルダを選択することで、いかに生産性の向上とコストの削減を実現できるかを把握する必要があります。ツールホルダメーカーは、個別の加工ニーズに合わせて設計されたホルダ(補足を参照)の選択肢をさらに拡大しています。

改善は、ホルダハードウェア自体に留まりません。ソフトウェアや RFID タグを使った工具管理は、データに基づく製造の一要素として普及が進んでいます。最新のツールホルダ技術には、ホルダにかかる力をリアルタイムでモニタリングできるセンサ搭載ホルダなどがあります。収集されたデータに基づいて、作業中に機械加工パラメータをオペレータが調整したり、機械制御装置とリンクされた人工知能(AI)が自動調整したりすることが可能です。こうした新たな技術は、ツールホルダが機械加工作業にもたらす生産的な貢献を強化します。

(補足)
あらゆるニーズに対応するホルダ
セコ・ツールズは、ツールホルダのラインナップを拡大してお客様のニーズを満たす方法を常に模索しています。2000 年に、フランスのツール保持システム会社の EPB を買収しました。EPB は、ツールホルダ、ボーリングヘッド、防振ツールホルダの設計と製造に幅広い経験を持っています。EPB のリソースを得たことで、セコ・ツールズは特定の機械加工用途に合わせて設計した多種多様なホルダを提供できるようになりました。

たとえば、セコ・ツールズは、各種ゲージ長やノーズプロファイルに応じて異なる焼きばめ工具オプションを提供しています。HD 焼きばめチャックは、重粗加工用途向けの設計です。DIN 焼きばめチャックは、品質が最優先される中仕上げ加工や高速切削加工の仕上げに最適です。M&D(金型)焼きばめチャックは、金型や航空宇宙製造業で一般的な深いキャビティでの仕上げ加工や中仕上げ加工に合わせて設計されています。

同様に、セコ・ツールズは、ER および HP コレットチャックを提供しています。一般的な汎用タイプの ER チャックは、1 つのチャックに異なるサイズのコレットを装着することで、さまざまな工具径に対応します。HP コレットチャックは、高速仕上げ加工や軽粗加工の用途で被削材面を美しく仕上げるように設計されています。ホルダの制振効果によって加工機械の振動を最小限に抑えます。コレットを交換するだけで直ちに加工を再開できるため、工具の破損への対応が容易になります。

重切削加工では、あらかじめバランスが取られたセコ・ツールズのパワーフライス加工チャックが効果的です。切り屑除去率が向上し、焼きばめまたはウェルドンホルダの代替として使用できます。導入しやすく、縮小スリーブを使って異なる工具径を保持できます。また、延長スリーブによるさらに幅広い工具保持性能を提供する油圧拡張チャックは、3xD 5µm 未満の揺れを達成し、高速切削加工に合わせた緻密なバランス取りを施しています。一体型のオイルリザーバが制振性能を発揮し、表面品質を最適な状態に保ちます。

ツールホルダの機能や性能、用途について詳細なトレーニングを受けたセコ・ツールズの技術営業スタッフが、お客様をサポートします。また、各地域のエキスパートによる追加サポートもご利用いただけます。豊富な知識と経験を備えた技術サポート担当者が、具体的な部品、機器、加工戦略に最適なホルダの選択をお手伝いします。さらに、セコ・ツールズのカタログを詳細なテクニカルガイドとして活用することで、最も生産的かつコスト効果の高いホルダを選択できます。

著者:
工具システム担当コーポレートプロダクトマネージャ、Yves Heitz


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