車載向け1,000VDC対応高電圧ヒューズ
Littelfuse, Inc.が、AEC-Q200準拠の高電圧DC回路保護ヒューズを車載用途向けに展開。
www.littelfuse.com
概要
Littelfuse, Inc.の日本法人であるLittelfuseジャパン合同会社は、最大定格1,000VDCに対応する高電圧ヒューズ「828・827シリーズ」を発表した。本シリーズは、車載電子機器向け受動部品の信頼性評価規格であるAEC-Q200に準拠した高電圧DCヒューズとして位置付けられ、電動車両（EV）における高電圧回路の保護を主用途としている。
高電圧化が進む車載電源システムの課題
EVや次世代車載アーキテクチャでは、800V級から1,000V級へとDCバス電圧の高電圧化が進んでいる。これに伴い、オンボードチャージャー（OBC）や配電ユニット（PDU）では、限られた実装スペース内で高い遮断性能と車載グレードの信頼性を両立する回路保護部品が求められている。
従来、AEC-Q200準拠のヒューズは低～中電圧帯が中心であり、高電圧DC回路では設計上の制約が存在していた。828・827シリーズは、この車載高電圧領域における保護部品の空白を補完する製品として開発された。
828・827シリーズの技術特性
828シリーズは1,000VDC、827シリーズは800VDCの定格電圧に対応し、いずれも定格電圧条件下で10kAの遮断容量を備える。動作温度範囲は−55℃から125℃までと広く、車載用途で想定される厳しい熱環境への適合を前提としている。
実装面では、ISO端子とスタンドオフリードを一体化したスルーホールタイプに加え、ボルトダウンタイプを用意しており、追加アクセサリや複雑なリード成形工程を必要としない。これにより、高電圧回路への統合を簡素化しつつ、PCB実装面積の削減にも寄与する。
適用分野と設計上の利点
本シリーズは、OBC、PDU、高電圧EVサブシステムなど、DC高電圧かつ高信頼性が求められる車載電子機器を主な適用分野としている。堅牢な構造設計により、振動や温度変化を伴う車載環境下でも安定した遮断特性を維持する点が特徴とされている。
また、AEC-Q200への準拠に加え、RoHS指令対応、ハロゲンフリー、100％鉛フリーといった材料要件にも対応しており、グローバルな車載電子機器設計における環境規制への適合を考慮した仕様となっている。
主要仕様
828・827シリーズの公称溶断I²Tは39～7056 A²secの範囲で設定され、遮断電流は10kAおよび20kAのバリエーションが用意されている。これにより、異なる回路構成や保護要件に応じた選定が可能となる。
供給と位置付け
828・827シリーズは12月下旬より、リテルヒューズ正規代理店を通じて提供される。高電圧定格、車載規格準拠、柔軟な実装方式を組み合わせた本製品は、電動モビリティ向け電源システムにおけるDC高電圧回路保護の選択肢を拡張するものとして位置付けられている。
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