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超低消費電力SoC、AI対応エッジデバイスをターゲットに

Ambiq Micro Inc.は、厳しい電力制約下でAI性能、グラフィックス、接続性の両立を目的とした新しいシステムオンチップの出荷を開始した。

  ambiq.com
超低消費電力SoC、AI対応エッジデバイスをターゲットに

ウェアラブル、スマートホーム機器、コネクテッドヘルス製品といった用途におけるエッジAIコンピューティングでは、消費電力を増やすことなく、より高度なローカル処理能力が求められている。こうした背景の中、超低消費電力半導体ソリューションを手がけるAmbiq Micro Inc.は、Apollo510Bシステムオンチップ(SoC)の出荷を開始した。本製品は、電力制約の厳しい組み込みシステムおよびエッジAIワークロードを想定して設計されている。

エッジAIおよびコネクテッドデバイスにおける電力制約への対応
Apollo510Bは、バッテリー寿命、熱制限、常時稼働といった設計上の制約が重要となる用途を対象としている。具体的には、AI対応ウェアラブル、スマートホームのエンドポイント、コネクテッドヘルス製品などが挙げられ、これらの分野ではローカル推論、グラフィックス表示、音声処理、無線通信を限られたエネルギー予算内で実行する必要がある。

本デバイスは、AmbiqのSPOT(Subthreshold Power Optimization Technology)®プラットフォームを基盤としており、トランジスタをサブスレッショルド領域で動作させることで、アクティブ時および待機時の消費電力を低減する。この技術は、エッジAIにおける演算需要の増加と、小型バッテリー駆動システムで利用可能な電力とのギャップを埋めることを目的としている。

プロセッサアーキテクチャとAI性能
Apollo510Bの中核には、最大250MHzで動作するArm® Cortex®-M55プロセッサが搭載されている。このプロセッサは、デジタル信号処理および機械学習アクセラレーション向けのArm Helium™テクノロジーを統合しており、さらにturboSPOT®によって高い動作ポイントでの性能効率が強化されている。

同社によれば、本SoCはCoreMark®効率で120 CoreMark/mJ(CM/mJ)を超える性能を実現しており、エネルギー効率が重要な指標となる組み込みAIや信号処理ワークロードに適している。

接続性、メモリ、グラフィックス機能の統合
コネクテッドなエッジアプリケーションを支えるため、Apollo510Bは48MHzのネットワーク・コプロセッサとBluetooth® Low Energy 5.4無線を統合しており、外部通信チップを使用せずに低消費電力の無線通信を実現する。

また、3.75MBのシステムRAMと4MBの内蔵不揮発性メモリを備え、より複雑なファームウェア、AIモデル、グラフィカルユーザーインターフェースをSoC上で直接実行できる。表示機能としては、ベクターグラフィックスアクセラレーションを備えた2D/2.5D GPUを内蔵し、外部グラフィックスプロセッサを使わずに高度な表示処理を可能にする。

アプリケーションにおける位置づけ
Apollo510Bは、AI処理能力、無線接続、先進的なグラフィックス、内蔵メモリを低消費電力アーキテクチャに統合することで、バッテリー寿命を犠牲にすることなくローカルインテリジェンスを必要とするエッジコンピューティング設計に対応する。特に、消費者向けおよびヘルスケア分野の組み込みシステムにおいて、厳しいエネルギー制約の中でオンデバイス機能を高度化するという、エッジAI分野の大きな潮流を反映した製品となっている。

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