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HMSネットワークス年次報告書:産業用Ethernetの優位性がさらに拡大

スウェーデン・ハルムスタッド、2025年5月28日 HMSネットワークスは、産業用ネットワーク市場に関する年次分析レポートを発表し、主要なトレンドや動向を明らかにしました。2023年に顕著な急成長を遂げた後、2024年には市場の成長がやや鈍化し、新たに設置されたノード数は約10~11%減少しました。この減少は、経済環境の悪化や継続する不確実性、自動車・製造業といった高度に自動化された分野における生産能力の過剰、特にヨーロッパでの影響によるものとされています。

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HMSネットワークス年次報告書:産業用Ethernetの優位性がさらに拡大

HMS Networks、インダストリアル・ネットワーク・テクノロジーズ、マーケティング担当バイスプレジデント、Magnus Jansson氏。hernetがその地位をさらに強化していることを確認しており、一方で従来型のシリアルベースのフィールドバスは衰退が加速しています。過去2年間、電子部品の不足により、シリアルベースのフィールドバスに頼らざるを得ない状況で需要が維持されていました。しかし現在では、部品の入手も安定し、経済的な圧力も高まる中でよりコスト効率が高くスケーラブルなEthernetベースの通信へと関心が移行しています。

2025年の調査において、HMSは産業用ネットワーク市場が引き続き成長を続けていると結論付けており、今後5年間の市場全体の成長率は+7.7%と予測しております。現在の市場環境の影響により、2025年の成長率はこの平均を下回ると予想されていますが、2026年以降は回復が見込まれており、工場におけるネットワーク接続の重要性が今後も継続することが裏付けられています。

Ethernet規格別のシェア動向:
• PROFINET は27%(前年23%)に増加し、トップシェアを強固に
• EtherNet/IP は23%(前年21%)でPROFINETに続く
• EtherCAT は17%(前年16%)と堅調な成長を継続
• Modbus TCP は4%で横ばい
• POWERLINK、CC-Link IE およびその他のEthernetネットワークは、わずかな変動はあるものの、安定したシェアを維持

フィールドバス技術の動向:
フィールドバス技術は現在、新規ノードのわずか17%と予測され、2024年の22%から大幅に減少しています。
• PROFIBUS は依然として最大のシェアを持つものの、7%から5%へと減少
• DeviceNet、CC-Link、Modbus RTU はそれぞれ1ポイントずつ減少
• CAN/CANopen は2%で横ばい
• その他のフィールドバスプロトコルは、全体で4%を構成

無線通信技術の動向:
無線は新規ノード設置の7%を占めており、2024年と比較して安定した水準を維持しています。無線技術は、主にモビリティ、柔軟なネットワーキング、またはAGV(無人搬送車)、移動式産業機器、既存システムの後付けなど、アクセスが困難な場所における用途で、リアルタイム性を必要としない通信の重要な補完手段として引き続き活用されています。
一方で、現在はモバイル通信分野で導入が進んでいる5G無線技術については、産業オートメーション分野での普及は依然として緩やかです。これは、インフラ管理の複雑さ、導入コストの高さ、セルラー通信チップにおけるリアルタイム性能を安価に実現する難しさなどが要因です。しかし、これらの障壁にもかかわらず、特にアジアにおいては産業用途での初期導入がすでに進行しており、将来的な産業通信の進化において大きな可能性を秘めています。

地域別の動向:
• ヨーロッパ:PROFINETおよびEtherCATの導入が強く、新たなインフラ技術への関心も高まっています。特に、プロセスオートメーション用途でのEthernet通信を可能にするAPL(Advanced Physical Layer)や、センサーまでEthernet通信を拡張するSPE(Single Pair Ethernet)に注目が集まっています。
• 北米:EtherNet/IPが依然として主要なプロトコルとして位置づけられていますが、IO-Link、APL、SPEといったスマートデバイスに対応した技術の導入が明らかに進んでおり、今後数年間での市場拡大が期待されています。
• アジア:中国市場ではPROFINETおよびEtherCATがともに成長を続けており、TSN(Time Sensitive Networking)機構を初めて取り入れた産業用プロトコルであるCC-Link IEが地域内で強い基盤を維持しています。
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HMS Networksの見解:
「今年のデータは、従来のフィールドバスから産業用Ethernetへの移行が引き続き進んでいることを明確に示しています。この移行は、今日のオートメーションシステムに求められるより高度なネットワーク機能へのニーズによって推進されています」と、HMSネットワークスのマーケティング担当副社長、Magnus Janssonは述べています。「産業用Ethernetはすでに確固たる地位を築いていますが、より多くの情報活用や業界のデジタル化への関心が成長を後押ししています。また、Ethernetインフラは、ギガビットEthernet、TSN、Single Pair Ethernet、OT/IT融合といった今後のイノベーションへの道も切り開いています。」
今後5年間の平均成長率は7.7%と見込まれており、短期的な政治・経済の不確実性や、オートメーション企業が接続手法を再考することを求められるサイバーセキュリティ規制の動向があるにもかかわらず、引き続き前向きな見通しとなっています。
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調査について:
本レポートは、HMSネットワークスが独自に実施した分析に基づいており、市場動向、社内データ、産業オートメーション業界の主要関係者からの情報を組み合わせて作成されています。本調査は、ファクトリーオートメーション分野における世界中の新規ノード(産業用制御ネットワークに接続された機器や機械)を対象としています。


HMSネットワークス年次報告書:産業用Ethernetの優位性がさらに拡大

HMS Networks、インダストリアル・ネットワーク・テクノロジーズ、マーケティング担当バイスプレジデント、Magnus Jansson氏。

 

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