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SEEPEX

SEEPEXのポンプ・モニタリングがドイツの下水処理場で目覚ましい活躍

廃水浄化のための重要データすべてを下水処理場が利用できるように

 
どの河川でも水はきれいであってほしいものです。ドイツ最大の都市圏ルール地方の名前の由来ともなっているルール川には、およそ200万人の市民が使った水を浄化処理したうえで排水しています。その処理を行うルール水管理組合(Ruhrverband)では、国際的に評価の高い専門企業SEEPEXのデジタル・モニタリング・ソリューションが汚泥処理プロセスの確実な制御を担っています。ルール水管理組合は、このポンプ・モニタリング・システムの試験段階を問題なく終え、ポンプ稼働中の重要なパラメータを常時リアルタイムにモニタリングすることで処理能力とエネルギー効率が増すとともに、信頼性が向上して保守作業のための予測性が高まるものと判断しています。

ルール水管理組合とSEEPEXは、下水汚泥の搬送分野で長きにわたり協力してきました。ドイツ・ボトロップを拠点に世界市場をリードする当社のパワフルな一軸ねじ式ポンプが、高粘度の汚泥を長距離にわたって処理プラントまで圧送しているのです。なかでもエッセン市にある2か所の下水処理場では、SEEPEXのポンプ・モニタリング・ソリューションが常時プロセスの最適化を図っています。このポンプ・モニタリング・システムは2021年以来、分析のためにセンサのデータを記録してきました。その目標は、設置されているSEEPEXポンプの稼働性能の最適化に加えて、必要となる保守を削減することです。その技術がもつ能力が実証され、いま恒久的に利用されるようになっています。

長距離搬送という難しいプロセス
 この2か所の処理場はいずれも、最長8kmにもおよぶ長い搬送距離に加えて、搬送物の量と粘度が変わるという特に難しい課題に直面していました。そのため、要求が厳しく時として複雑なプロセスにもなりますが、その分だけ最適化にも大きな余地があります。また、このお客様ではSEEPEXのポンプ・モニタリングによってポンプの運転や処理の状況を長期にわたって分析することで、運転パラメータや稼働時間、消費エネルギーに関する改善指針が得られるものと期待していました。なかでも決定的に重要な圧力条件と摩耗状況を重視しています。そのためポンプ・モニタリング・システムで流量・圧力・振動・温度といったポンプのデータを記録するようにし、部品や処理の状況をリアルタイムに監視できるようにしました。

1年間にわたり、一次汚泥を処理するため2台のポンプによって異なる場所から搬送するという試験運用プロジェクトを行いました。その1台SEEPEX NS 70-24ポンプは、エッセン市クップファードレー下水処理場から8km離れた汚泥処理施設まで一次汚泥を搬送します。もう1台のSEEPEX BN 130-12一軸ねじ式ポンプは、エッセン南下水処理場から6kmにわたって汚泥を搬送します。そこで課題となるのが、搬送先の汚泥処理施設の処理能力に両ポンプによる搬送の仕方を合わせることでした。

問題の発見と根本原因解析
 2021年2月、SEEPEXは2つの下水処理場にポンプ・モニタリング・システムを設置しました。提供したのは、ポンプ・モニタリング用ハードウェアとカスタマイズしたセンサ一式のほか、データを収集・監視・分析するための通信用インフラとConnected Service(接続サービス)などです。「SEEPEXは、ルール水管理組合に対して、独自のアルゴリズムや専門的知見に基づいて毎月レポートを送り、判明したことや推奨できる対応などを提案することで支援しました」と、SEEPEXのデジタル・ソリューション製品マネージャDr. Christian Brehmは説明しています。

こうした分析を始めるとすぐに、SEEPEXのエキスパートによって従来は見落としていた問題が明らかになり、その背後にある原因も突き止めることができました。たとえば、吐出圧力が高く、ときにはポンプ仕様を上回ることもありました。そこで、担当エキスパートは、周波数の共振によって機械部品に大きな負荷がかかり、ねじのゆるみや連結ロッドの折損の原因なっていたとすぐに判断したのです。

またテストの段階が進むにつれて、ポンプ・モニタリングによりロータとステータの状態も見える化され、SEEPEXでは1か月前にそうした部品の最適な交換時期を決定することができるようになりました。「このようにお客様は事前に保守作業を計画でき、操業が予期せず止まってしまうのを避けられます。見方を変えれば、この水管理組合では、プロセスの信頼性を損なうことなく、そうした摩耗部品を寿命まで完全に使用することができるようになったのです。さらに調整を行った結果、ロータとステータの寿命が50%以上も高まりました。これは、ポンプ1台あたり年間95万円以上の経費節約に相当します」と、製品マネージャのBrehmは説明しています。

運転も25%省エネ
 SEEPEXの専門チームは、エネルギー消費量を左右する3つの重要な因子を特定したことで、エネルギーコストを25%以上も抑制できる可能性を明らかにして、そこからさらにエネルギー効率向上のために推奨される対応を提案しました。これを受けたルール水管理組合はSEEPEXと緊密に連携しながら、プロセスの制御を調整しました。ルール水管理組合では、なによりポンプ消費エネルギーの詳細な分析に感心したそうです。SEEPEXのポンプ・モニタリング・システムによって、汚泥1m3あたりのエネルギー消費と具体的なエネルギーコストについて明確な状況をお知らせします。そのため今後も、連続的にポンプをモニタリングして最適なプロセス条件と一貫して低いエネルギー消費量が確実に維持されていくでしょう。

予測可能な保守サイクル
 ルール水管理組合のデジタル化プロジェクト・マネージャーGregor Lorenz氏は次のように説明しています。「SEEPEXによる連続的な状況モニタリングと分析、レポート化の大きなメリットは、保守サイクルが予測可能になり、操業コストを大幅に削減できることです。どのように摩耗部品を管理するか、どのように圧送する汚泥1m3あたりの消費エネルギーを最小限におさえるか、こうした点に関する深く掘り下げた分析に私どもは非常に感謝しています」。

重要業績評価指標(KPI)やトレンド、エラーメッセージを分かりやすく簡潔にまとめた毎月のレポートは、ルール水管理組合にとって極めて貴重なものとなっています。「緊密な連携を通じて、毎月お送りするレポートはルール水管理組合のニーズに見合うよう改善を続けてきました。こうした取組みの成果は、将来的にSEEPEXのすべてのお客様のメリットになるでしょう。現在、この長期にわたる月次レポートのサービスは、SEEPEXモニタリング・ソリューションの一部となっています」と、Brehmは話しています。


SEEPEXのポンプ・モニタリングがドイツの下水処理場で目覚ましい活躍

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