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日本のデジタル医療インフラを支えるデータプラットフォーム構想
SMBCグループ、富士通、ソフトバンクは、同意に基づく医療データおよび個人健康データの統合を目的とした日本国内開発の医療データ基盤を構築する。
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日本の医療システムは、高齢化の進行、慢性疾患管理の需要増加、医療機関の運営負荷の複雑化といった構造的課題に直面している。SMBCグループ、富士通、ソフトバンクによる今回の提携は、安全な医療データ相互運用、AIを活用した患者支援、医療サービス統合を組み合わせた国内開発のデジタル医療インフラによって、こうした課題への対応を目指す。
複数企業による医療インフラ開発体制
今回の協業では、金融サービスの顧客接点、医療データ基盤、コンシューマー向けデジタルプラットフォームの各機能を統合する。
SMBCグループは、サービス普及と医療・金融サービスの統合を担当し、Oliveを含む既存のデジタルチャネルや、ソフトバンクとの既存協業を通じた医療関連決済サービスを活用する。
富士通は、医療データプラットフォームの開発・運用、医療機関向けAIシステム、さらに医療データを活用した研究開発や創薬を支える次世代コンピューティング基盤を担当する。同社は、医療データガバナンス、ソブリンクラウド技術、医療分野向け大規模言語モデル「Takane」などの技術資産を提供する。
ソフトバンクは、国内運用されるコンシューマー向けアプリケーションの開発を担い、ソブリンクラウド基盤および自社開発の大規模言語モデルを活用する。PayPay、LINE、Yahoo! JAPANなどのデジタルエコシステムに加え、自治体や医療機関との連携を通じてサービス展開を進める。
導入目標は6,000万人の利用者と4,000の医療機関への展開としている。
同意ベースの医療データ相互運用アーキテクチャ
中核となる技術要素は、医療情報システム内に存在する医療データを安全に管理・活用する医療データプラットフォームである。
このアーキテクチャは、同意ベースのデータガバナンスを前提として設計されており、医療データと個人の健康データを、明示的な利用許諾の範囲内で連携・参照・活用できる仕組みを構築する。運用は関連法規やガイドラインへの準拠が前提となる。
日本の医療データ環境では、医療機関ごとにデータ形式が分断されており、個人健康データも複数のサービスに散在していることから、相互運用性の確保が大きな技術課題となっている。
このプラットフォームでは、データの構造化と標準化を進めることで、病院、医療提供者、民間サービス事業者、将来的には公共デジタル基盤との接続性向上を目指す。
将来的には、全国医療情報プラットフォームやマイナポータルとの連携も視野に入れており、日本の医療DX政策との整合も図られている。
AIエージェントによる継続的健康管理
アーキテクチャのもう一つの要素は、個人向け健康支援機能を担うアプリベースのAIエージェントである。
これらのアプリケーションは、利用者の同意に基づいて取得された個人健康データと医療記録を統合し、健康支援に活用する設計となる。
想定される活用範囲は、日常の健康管理、医療相談、継続治療、治療後フォローアップまでを含む。
これにより、予防医療、慢性疾患管理、患者エンゲージメントを単発的な診療ではなく、継続的なデジタルケアの流れとして扱う医療インフラモデルが形成される。
また、重複検査、重複処方、治療中断、予防可能な疾患の進行といった非効率の抑制にもつながる可能性がある。
国内インフラ構築の重要性
今回の設計思想における重要な要素の一つがデータ主権である。
プラットフォームおよび関連アプリケーションは、日本国内のデータセンターで運用される医療デジタルインフラとして構築される。
これは、機微性の高い医療データが海外のAI基盤で処理されることへの懸念、ならびに経済安全保障や規制遵守の観点からの課題に対応するものとなる。
医療システムにおいてデータ主権は、監査可能性、管轄権の明確化、インフラの信頼性、医療機関の運用上の信頼確保に直結する。
想定される運用上の影響
日本では65歳以上の人口が総人口の約30%を占めており、医療提供体制への負荷が増している。
3社は、医療提供の最適化によって、将来的な医療費増加を約5兆円規模で抑制できる可能性があるとしている。
その実現メカニズムとして、重複検査の削減、重複処方の抑制、継続治療の改善、限られた医療資源の効率的な配分などが挙げられる。
Aishwarya Mambet(Induportals編集者)、AIの支援により編集。
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