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NECが光通信衛星向け実証ペイロード設計を完了
光通信・ミリ波通信・高速ルーティング技術を統合し、軌道上でのAIインフラ実証と衛星コンステレーション構築を加速。
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宇宙通信、AIインフラ、次世代ネットワーク分野では、大容量・低遅延通信を実現する衛星コンステレーション技術の確立が求められており、NECは光通信、ミリ波通信、高速ルーティング処理を統合した技術実証衛星のペイロード設計を完了し、軌道上での実証に向けた開発を進めている。
本プロジェクトでは、小型衛星に搭載する機器の設計を完了し、今後は製造および衛星バスへの統合を経て、2027年度に地球周回軌道への打ち上げが予定されている。本実証は、地上試験では取得が難しいデータを取得し、将来の光通信衛星コンステレーションの実用化に向けた基盤技術の検証を目的としている。
光通信衛星に求められる技術的課題への対応
衛星コンステレーションでは、多数の小型衛星が連携しながら動的メッシュネットワークを構成するため、通信干渉の回避と大容量データ伝送の両立が課題となる。このため、従来の無線通信に代わり、衛星間通信に光通信を適用する動きが進んでいる。
一方で、光通信機器を小型衛星へ大量搭載するには、開発期間の短縮とコスト低減が不可欠であり、民生用技術の活用が重要となる。また、軌道上での高速移動環境においては、従来の地上ネットワークとは異なる高性能なルーティング処理が求められる。
民生用光通信機器の宇宙適用
本実証では、民生用の光送受信機を対象に、宇宙環境における耐放射線設計の有効性を検証する。これにより、小型衛星でも大容量通信を可能にする低コストかつ高性能な光通信機器の実用化に向けた評価データを取得する。
民生技術の活用は、量産性の確保やコスト削減に寄与するだけでなく、衛星コンステレーションのスケーラビリティ向上にも直結する要素である。
高速ルーティング処理とAI活用
衛星間ネットワークにおける低遅延通信を実現するため、本衛星には米国AMD(注1)製のアダプティブSoC Versal(TM)(注2)を搭載し、その動作検証を行う。これにより、高速な信号処理およびネットワークルーティングの実現可能性を評価する。
さらに、NECが蓄積してきた衛星開発技術と生成AIを組み合わせたアプリケーション開発手法についても検証を行う。これにより、将来の衛星開発における設計効率や開発プロセスの高度化が期待される。
ミリ波帯通信による大容量伝送の検証
次世代通信に向けた周波数帯の拡張を見据え、Q/Vバンド(注3)の送受信機を搭載し、ミリ波帯通信の動作実証を実施する。これにより、高速・大容量通信における伝搬特性のデータを取得し、将来の宇宙通信システム設計に活用する。
地上局との通信を通じて、周波数帯ごとの伝搬特性を実測する点は、実運用に向けた重要な検証要素となる。
小型衛星バスの採用による迅速な開発
本衛星のバスには、Apex Technology(注4)の小型衛星バス「Aries」を採用する。既存製品を活用することで、開発期間の短縮とリスク低減を図り、迅速な軌道実証を可能にする。
このような既製バスの採用は、近年の小型衛星開発において一般的となっており、ミッション固有技術に開発リソースを集中させることが可能となる。
衛星コンステレーション技術の実用化に向けて
本実証は、光通信衛星コンステレーションに必要な複数の要素技術を統合的に検証する点に特徴がある。特に、光通信、ミリ波通信、高速ルーティング処理を組み合わせたシステムレベルでの検証は、実運用に近い環境での性能評価につながる。
得られた成果は、経済安全保障重要技術育成プログラム(NEDO)および宇宙戦略基金事業(JAXA)における研究開発にも活用される予定であり、日本における宇宙通信インフラの高度化に寄与する。
NECは、宇宙空間を活用したデジタルインフラの構築に向け、光通信および関連技術の開発を継続するとしている。
(注1) AMDについて
(注2) アダプティブSoC Versal(TM)について
(注3) 本搭載機器は国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究(JPJ012368C06702)「Beyond 5G 宇宙ネットワーク向け未利用周波数帯活用型の無線通信技術の研究開発」で手掛けた技術を社内研究開発投資で引き継いだものです。
(注4) Apex Technologyについて
産業ジャーナリスト ナタニア・リンドー編集 — AIによる編集
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