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分散型AIインフラ向けモジュラー型エッジデータセンター
インターネットイニシアティブ株式会社が河村電器産業株式会社と共同でモジュラー型エッジデータセンターを製品化し、GPUワークロードと分散型AI基盤に対応。
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AIワークロードの拡大により、高密度GPUサーバーの高い電力需要と冷却要件に対応可能なデータセンターインフラへの需要が高まっている。このような背景のもと、インターネットイニシアティブ株式会社(IIJ)は河村電器産業株式会社と共同開発したモジュラー型エッジデータセンター「DX edge Cool Cube」を発表した。
GPUベースAIがもたらすインフラ設計上の課題
生成AIの普及に伴い、従来のITインフラと比較して発熱量と消費電力が大きいGPU搭載サーバーの導入が進んでいる。ラックあたりの電力需要の増加に伴い、データセンターでは冷却方式や電源設計の見直しが進んでいる。
一方で、大規模な集中型データセンターの建設には、用地確保、電力容量、建設期間といった制約が存在する。このため、特に製造業、研究機関、公共インフラ分野など、データの即時処理や管理が求められる分野では、エッジコンピューティングやハイブリッドクラウドといった分散型コンピューティングモデルへの関心が高まっている。
こうした状況を背景に、IIJと河村電器産業はICTインフラと電力設備分野の技術を組み合わせ、分散型デジタルインフラの構築を目的としたモジュラー型エッジデータセンタープラットフォームを開発した。

電源・冷却・ラックを統合したエッジ基盤
DX edge Cool Cubeは、電源設備、冷却システム、ラック設備をモジュール構造内に統合した自己完結型エッジコンピューティング基盤として設計されている。1モジュールあたり20kW以上の電力供給能力を持ち、高発熱GPUサーバーに対応する冷却設計が採用されている。
主要サーバーメーカーのラックシステムに対応しており、クラウドを介さず自社環境内で学習や推論処理を実行するプライベートAI基盤としての活用も想定されている。
この構成は、機密データの管理が必要なケースや、自社環境内で低遅延処理を実現する必要がある用途に適している。
分散配置を前提としたモジュラー拡張設計
電力設備、IT機器、冷却モジュールを組み合わせた構成により、単一ラックから複数拠点への分散配置まで柔軟な導入が可能となっている。追加モジュールによる計算能力の拡張や設置拠点の増設にも対応する。
この設計は、データ発生源に近い場所へ計算資源を配置する分散型デジタルサプライチェーンの考え方にも対応する。また、AI処理需要の増加に応じたGPU増設も考慮されている。
電力受電キュービクル構造をベースとしたモジュール設計により、専用のデータセンター建屋を新設することなく屋内外への設置が可能となる。現地での設計・施工作業を最小化することで導入期間の短縮にもつながり、標準納期は約5か月とされている。

プライベートAIからエッジコンピューティングまでの導入想定
本システムは、余剰電力の活用を前提とした発電所近接型データセンターや、既存の電力インフラを活用できる工場跡地や倉庫などへの設置も想定されている。
想定利用者には、データセンター事業者、公共機関、エネルギー関連事業者のほか、再開発や設備更新プロジェクトも含まれる。
また、製造業、研究機関、医療分野など、外部へのデータ持ち出しが制限される環境におけるソブリンAI基盤としての利用も想定されており、小規模な実証実験から大規模運用まで対応可能としている。
さらに、自動運転、映像解析、スマートシティなどリアルタイム性が求められる分野では、通信遅延を低減するマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)やエッジAI基盤としての活用も想定されている。
産業ジャーナリスト Aishwarya Mambet により編集、AI支援のもと。
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