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低消費電力冷却向けファンドライバの制御高度化

Melexisは、シングルコイル冷却ファン用途に向け、モーター制御とシステム統合性を強化した800mAファンドライバを追加した

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低消費電力冷却向けファンドライバの制御高度化

Melexisは、MLX90411ファミリーを拡張する800mA冷却ファンドライバ「MLX90411-D」を発表した。本製品は、シングルコイルファン向けに設計されており、コンスーマー機器、家電、電力インフラ分野における冷却用途で、制御精度の向上とシステム簡素化を目的としている。

冷却ファン市場における設計課題
冷却ファンは、ゲーム機やPC、冷蔵庫、無停電電源装置(UPS)、エネルギー貯蔵システム(ESS)など、多様な機器の信頼性を支える要素である。一方で、これらの分野では、システムコストの抑制と音響ノイズ低減への要求が年々高まっており、長期安定動作と静音性を両立するファン制御が設計上の課題となっている。

MLX90411-Dは、こうした要求に対応するため、モーター制御アルゴリズムと保護機能を統合したファンドライバとして位置付けられる。

改良されたモーター制御アルゴリズム
MLX90411-Dの中核には、改良されたモーター制御アルゴリズムが実装されている。比例積分(PI)制御の最適化により、1000RPM未満の低回転域でも安定した動作を可能とし、始動・停止時のトルク変動を抑制する。

これにより、滑らかな立ち上がりと停止動作が実現され、音響ノイズの低減と機械的ストレスの抑制によるファン寿命の延長が期待される。複数の始動・停止プロファイルが用意されており、用途やファン特性に応じた制御設定が可能である。

速度制御の柔軟性と省電力化
本デバイスは、最大および最小の運転ポイントを設定可能な速度曲線定義機能を備えている。これにより、必要な空気流量に応じた精密な回転数制御が可能となり、最低回転数を抑えることで消費電力の低減に寄与する。

特に、常時最大回転数を必要としない冷却用途では、エネルギー効率と静音性の両立が可能となる。

システム統合を簡素化する周辺機能
MLX90411-Dは、FG(周波数発生器)およびRD(回転検出)出力を内蔵しており、バリアント固有のデバイスを追加することなく、システムレベルでの回転数監視が可能である。

また、プルアップまたはプルダウンを選択可能なPWM入力に対応しているため、外部インバータ回路が不要となり、部品点数の削減とアーキテクチャ設計の柔軟性向上につながる。

保護機能と信頼性設計
本製品は、MLX90411ファミリーで実証されてきたEMC耐性と寿命信頼性を継承している。プログラム可能なロックローター保護(LRP)、温度シャットダウン(TSD)、過電圧保護(OVP)、短絡保護(OCP)などの保護・診断機能を備え、安全な動作を前提とした設計となっている。

これにより、長時間稼働が求められる産業用途やインフラ用途においても、安定した運用が可能となる。

互換性と適用分野
MLX90411-Dは、SOT23-6パッケージを採用し、既存のMLX90411Bとのピン互換性を確保している。このため、基板の再設計を行うことなく、既存設計からの移行が可能である。

対象市場は、10W未満のファン用途を中心に、ゲームコンソール、PC冷却、冷蔵庫、VGA/GPU冷却、UPS、インバータ、24V/32V産業用ファン、エネルギー貯蔵システムなど幅広い。

冷却制御ICとしての位置付け
MLX90411-Dは、設定柔軟性、低騒音性能、コスト最適化、信頼性を組み合わせた冷却ファン制御ICとして、静音性と効率性が求められる次世代システムに適した構成を提供する。冷却設計における制御品質と実装効率の両立を図るソリューションといえる。

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